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「クトゥルー神話の物語がよくわかる本」

先日、こんなコメントをいただいた。

「宜しければ、クトゥルー神話の物語がよくわかる本などをご紹介頂けないでしょうか?」

そして、頭を抱えた。
とても一言では書けないので、このブログはその方へのお返事もかねて書いている。

頭を抱えた理由は「よくわかる本」という言葉である。
その言葉にすぐに浮かんだのは、『入門書』とか『解説』というものである。
分かりやすいその類の書籍が今や何冊も出ている。
でもそれで分かるのは、「クトゥルー神話体系」についてである。

質問者が何を分かりたいのか…、
バックグラウンドが分からないので、どんな答えが適切なのかも定かではない。
もしかしたらTRPGのゲームシナリオを作りたくての質問かもしれない。
それならば、前述の『入門書』とかがいいのだろう。

でもそうではなくて、
単純にクトゥルー神話に興味を持ち
「クトゥルー・ミュトス・ファイルズ」を出している「私」に来た質問なのだとしたら…。
私がまず最初に知って欲しいのは「クトゥルー神話体系」ではなく、
「クトゥルー神話の面白さ、怖さ」である。
これは、『入門書』、『解説書』では決して分からない。

けれど、ここで頭を抱えてしまった。
要望は「よくわかる」である。
つまり質問者はクトゥルー神話が「わかりくい」ということを知っているのである。
ということは、もしかしたらもう『ラヴクラフト全集』などの原典は読んでいるのかもしれない。
その上で「よく分かる」というのであれば…やはり『解説書』を勧めるべきなのであろうか。

でも、もしそうではなく、まだクトゥルー神話を読んだことがなく、
ゲームなどの明確な目的がないのであれば
私は『解説書』から読んで欲しくないと思っている。
それは、クトゥルー神話を創り出したラヴクラフトやその他の作家たちの本意ではないだろう、
と思うからである。
これは私の勝手な思い込みである。
ラヴクラフトなんて、生前は売れずに世を去り、そもそも死んだらおしまいで
死んだ後のことなんて知るわけもない。
知ったとしても、小説だろうとゲームだろうと自分が創り出したものが人々に親しまれるのは
嬉しいに違いない。
でも、小説を書いている時は絶対、
「この小説を読んで人々を怖がらせたい、面白がらせたい」
と思ったはずだと私は信じている。

決して『解説書』を否定しているのではない。
私自身、データとか統計とか、分類とか分析とか大好きで、
好きなコミックの『プレミアムガイドブック』とか出るとすぐに買ってしまう。
もっと言うと、ストーカー体質なので、好きな人の生まれ育った時の様子とか個人情報とか、
昨日の夜ごはん何を食べたか知るだけでハァハァしてしまう。
(あれ、話が脱線した?)
でもやはり最初はその「本質」を好きになって欲しいのだ。
そして今回の質問の対象である「クトゥルー神話」は「分かりにくい」。

私の答えは…
「分かろうとしないでください」

多分、分かろうとしなくても楽しめる作品はたくさんあります。
クトゥルー神話を楽しむにあたって、原作から入る必要も全くないと思っています。
クトゥルー様とか、ダゴン様とか、
いやいや、そんな神様や怪物は一切興味がないけど、「名状しがたい恐怖」とか…。
好きになって、楽しんでいただいたら解説書とかを読んでさらに楽しんで欲しい。

という思いを含めてお勧め4冊です。

妖神グルメ

邪神帝国

『ラヴクラフト全集 4巻』

クトゥルフ神話 超入門

『妖神グルメ』は、古い作品なので描写がレトロなところもありますが、
クトゥルー神話を知らない人でも間違いなく楽しめます。

そしてクトゥルー神話に興味を持ったら…『邪神帝国』。
クトゥルー神話のもつ名状しがたい恐怖が満載です。

そして免疫がついたら『ラヴクラフト全集 4巻』に収録されている『狂気山脈』。
ここまでくれば、もうアナタのクトゥルー世界は無限大!

そして「わかりくい」ではなく、もっと系統だって知りたい、そもそもこれは?と思ったら
「クトゥルフ神話 超入門」。

ちなみに①~③をお手軽にまとめているのが
ダンウィッチの末裔

チャールズ・ウォードの系譜
です。

日本人作家によるクトゥルー・エンターテイメント作品からゲームブックなど入り口は入りやすく、
巻末には原作の冒頭を収録しています。
ここで興味を持ったら原作のラヴクラフト全集へ。

そして脈絡なくて恐縮ですが、個人的なお勧めはコレw
アルハザード

大変ダラダラと長くなってしまいごめんなさい。
ということで以上!
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妖神グルメ読み終わりました!

Twitterでは、お世話になりました。
ご紹介して下さった作品から、まず
妖神グルメの感想を書かせていただきます!
読み終わって表紙閉じたとき、第一声が
なんじゃこりゃああああ!(良い意味で)
でした。
何気ない日常に退屈そうに見える、一見普通の男子高校生の主人公、内原富手夫。
欲望に忠実とはいえ、それが一般常識とはかけ離れているゆえ変人ですよね。
菊地先生の主人公って大抵がこのパターンだったりします。
彼の才能を巡って3つの勢力が争いますが、当人はどこ吹く風。
自身の究極のイカモノ料理が完成することしか頭にないのかと思いきや、3つの勢力による三つ巴の争いをどこか楽しんでいたりとトリックスター的な役割も担っていました。
まさに、這い寄る混沌ナイアーラトテップのよう。
私自身、クトゥルー神話初心者ですが、知識なくてもすんなり入れるのが魅力です。
最後は、欲望を満たしたあとにクトゥルーと共に消えた内原くんのその後が気になります。

登場人物については、みな個性的ですが
主人公の内原くんと、クトゥルー関係者がやたら個性が強すぎて、ギルクリストなんか、影がうっすい(笑)
今気づいたんですが、ギルクリストは、キ○ストの罪なんですかね(笑)
楽しく読めたので、ぜひ菊地先生には続篇をとお伝えください!


ありがとうございます!

感想くださって本当に嬉しいです!
本当に菊地先生の作品はキャラが魅力的ですよね!

>クトゥルー神話初心者ですが、知識なくてもすんなり入れるのが魅力です。

↑今回の主題がこれだったので、感想いただいて本当にほっとしました。笑

「ギルクリスト」の由来については考えても見ませんでした。
今度菊地先生にお聞きしてみます。
先生、意外と昔のことは覚えていらっしゃるので^^;

内原くんですが、後日談ではないのですが、このあと菊地先生の作品に1度だけ登場します。
『邪神迷宮』というタイトルです。

ところでいただいた感想、弊社の感想絵掲示板に転載させていただけないでしょうか?
菊地先生もご覧になっていらっしゃるので。
プロフィール

邪神の巫女

Author:邪神の巫女
クトゥルー様にお仕えしています。
クトゥルー様の教えを記した経典作りと宣教に日夜励んでいます。

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