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『クトゥルフ文法帳』(山田正紀先生より)

来年書下ろしのお約束をいただいている山田正紀先生より
構想についてメールをいただきました!!

タイトル:
『クトゥルフ文法帳』


↓ここから

「どうして函館は、くり返し大火にみまわれるのか?」
 
 函館に在住する、若き、しがない作家志望の水島は、
ひょんなことから小樽の古代文字が「クツゥルフ」を呼び出す呪文であることを知る。

5体の協力な妖怪が呼び出されるのだという。
いままさにその呪文を使って妖怪たちが北海道に召還されようとしている。
そんなことになれば世界は滅びるだろう。
何としても水島はそれを防がなければならない。

呪文の力に対抗するのには言魂の優れた使い手である作家たち、
それも現代のやわな作家たちではとても太刀打ちできない、
過去の文士たちが召還される必要がある。

かくして大文豪にして老獪 夏目漱石 
若き反骨の鬼才の文士 石川啄木 
エキセントリックな天才文士 宮沢賢治 
可憐にして華麗なる花一輪の、樋口一葉
の4人が冥界から召還される。

水島を加えて5人。
ここに5対5の文豪対クトゥルフとの壮絶な死闘、文法トーナメントが展開されることになる!

勝利するはクトゥルフか、それとも文豪たちか!


↑ここまで

こちらを読んで私の最初の感想は
「度肝を抜かれた」でした!
山田先生ならではのプロットだと思います!
発売予定は来年初夏ごろ!

ところで…先日書いた『ホームズ鬼譚~異次元の色彩』発売記念イベントレポートの
遊びにきてくださったゲストの先生方の画像を見て…
「ハリウッドの映画に出て来る4人組グループみだいだ」というご感想をいただきました。
それぞれどういう役割かは…皆様のご感想にお任せします。笑
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来年の予定も決まり、プロットも続々いただいております!
皆様お楽しみに!
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「インディアン」という差別語について

どうもこの件が話題になっているようなので、
「インディアン」という言葉について少し書こうと思います。

まず差別語を使用するかしないという論議をする時に
・「その言葉そのものを使用するか否か」
・「そこから派生してできた言葉はどうなのか」
・「同意語として作られた代替語の適切性と効果、意味」
・「過去のものを復刊する際はどうするのか」
という4つの問題をいっしょくたに話すと全く話の論点がずれます。

評論家が評論しあうならいいですが、
1つ1つ明確に結論を出していかなければ本なんて作れないです。

まず「インディアン」という言葉が差別語としてアメリカで意見が高まったのは
1980年代、political correctnessという市民運動がもとだと言われています。
イギリスは1990年代。

日本では差別用語の元となっているのはマスコミの「放送禁止用語」で
アメリカのマスメディアにも放送倫理規定なるものはありますが、
これはどちらかという差別用語よりも猥雑な表現の規制に重きを置いているように見えます。

そしてアメリカでは「インディアン」という言葉に対する反応は地域によって
とっても差があります。
例えば、日本人がツアーで旅行に行って自由行動の際に、ツアコンが
「この地域では間違ってもインディアンという言葉を使わないでくださいね」
と注意される地域があります。


ある博物館に入ろうとして受付で
「インディアンについての展示がありますか?」と聞いたら
入場を断られたという話もあります。

公立の学校で「インディアンは差別用語だと習いました」
と言っている人もいるし

在米日本人同士の会話で「インディアン」という言葉を安易に使った時に
「その言葉は『極めて貧しい』という意味が込められているから使わない方がいいよ」
と別な人が助言してるのも私は見たことがあります。
(多分その地域ではそう使われているのでしょう)

「インディアンというとインド人という意味だとして使っている」
という地域もあるようです。

カナダの「インディアン」と呼ばれた人たちはその呼称を大変嫌っていて
「ファースト・ネーションズ」と自らを呼んでいるそうです。

じゃあ、当事者の「インディアン」と呼ばれた人たちはどうでしょうか?というと…。
「インディアンとは呼ばれたくない。ちゃんと『族称』で呼ばれたい」
という意見もあれば
「アメリカ・インディアンという言葉に誇りを持っている」という人たちもいます。

差別用語を使うな、と言うと当然差別される側の意見に目が向きますが
実は差別してきた側も、その歴史に触れられることが苦痛だという側面もあります。
アメリカで、差別されている当事者よりも白人がその言葉にアレルギーを示すのは
その黒歴史を突きつけられるようでツライからじゃないかと、思ったりもします。


つまり…
「インディアン」という言葉はアメリカの歴史の凄くデリケートな問題だということです。
上に揚げたことについて、私はほとんどネットで目にしているだけなので
絶対本当か!と言われればなんとも言えません。

でもこの状況を見るだけで、その差別を実感として理解できない
異国の日本人が使うべきではない、
と個人的には思います。
ましてや、人を楽しませようと思っている娯楽小説!
なんでわざわざそんなリスク(人を傷つける)を冒す必要があるのか…。

なんで日本人がアメリカの真似をするのか!という意見も目にしますが
それはこれが元々、主にアメリカの問題だからです。
アメリカにとってデリケートな問題を
その問題を良く理解できない日本人が
広く人の目にする本にするべきでしょうか?

ところで、著者の方がよく言われるのは「歴史のリアリティ」です。
「インディアン」について私はいつも思うのですが
「リアリティ」というならば、その当時、その地域に本当にインディアンがいたのか
いたのであれば、実際にその地域に住んでいた部族の族称で書けばいいじゃないか、
ということです。
「アパッチ族」とか「いあいあ族」とか…。

今回、「インディアン」という言葉を「先住民」に変えたことが
問題になっていますが、
元々「先住民」は著者自身が「地」の文で使っている言葉でした。
元原稿では地の文で「先住民」が1回、会話で「インディアン」が1回。
同じものを違った表現で書くのは混乱のもとですし
著者自身「差別語」と認識して地の文では使わないというなら
会話でも統一したらどうかとご提案しました。

それでは「歴史のリアリティが損なわれる」とおっしゃるのを
曲げてお願いしました。
「歴史のリアリティ」を追求するのか、
「差別語の使用を避けるのか」
それはそれぞれのポリシーだと思います。
本来は、先生が「じゃあ、出したくない」と言ってしまえば済むところを
他のアンソロジーの先生方に気を遣ってくださって
ご了承くださいました。
本当にありがたく思っています。

ただ作品を創り出すのは先生方ですが発行に責任を負っているのは出版社です。
うちは会社の方針で、差別問題をテーマとした書籍を何冊か刊行しており
差別用語にはすこぶる社長がうるさいです^^;
私が見落として、たまに気まぐれでする社長のゲラチェックにひっかると
えっらい怒られます。

最後に
「差別する」時、ほとんどの人はその自覚がないと思います。
だから「気をつける」のも難しい。
大切なのは1つ1つ良く考えるしかないとは思うんですけどね。


―追記―
後半に社長の話を書いたら「責任転嫁」と思われた方がいたようですが
もっと転嫁すると
「NGワード」というのは大手の出版社では厳密に決まっていて
この手の読み物では担当レベルの意見をする余地がありません。
「NGワード」とされているものは「理由の如何に拘らず弊社基準で使用不可」。
復刊や歴史に関するもの、また派生語については会社によって対応も様々なようですが。
ただ、水際は現場の編集なので、校正チェックから漏れたものが
世に出ているものもあるでしょう。
うちは大手ではありませんが、同じように
「理由の如何に拘らず使用不可」と返事が社長よりきます。

でも、「理由の如何に拘らず使用不可」とする理由を聞いた時は
「なるほど」と思いました。
もちろん「抗議」を怖がってではありません。
「抗議」を気にするなら、もっとその「差別語」個々に対応の違いが出てきます。
「理由の如何に拘らず使用不可」とする方がよっぽど抗議の対象になるでしょうし。
それはまた何か別の機会に。

イベントレポート【『ホームズ鬼譚~異次元の色彩』発売記念イベント】

9月28日に開催した『ホームズ鬼譚~異次元の色彩』のイベントレポートです。
なんともう11月になってしまって(大汗!
遅くなってすいません。


さて、まずメインゲストの先生方!
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左から北原尚彦先生、山田正紀先生、フーゴ・ハル先生です。
なんと豪華!
書泉ブックタワーさんが作ってくれた看板もまた素敵!

そして遊びにきてくださったゲストの先生方がこちら!
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左から図子慧先生、黒史郎先生、池澤春菜先生、積木鏡介先生です。
妖しさ満載の黒先生とお隣の薔薇のように艶やかな池澤先生の並びが…、以下自粛。

今回はトークとクイズゲームが一緒になっています。
会場の皆様全員参加型のクイズなので、闘志を高めるためにまずはクイズの賞品のご紹介。
各先生から5個、ご提供いただきました。
IMG_4505.jpgIMG_4510.jpg
(クリックすると拡大します)
左は北原先生からの賞品。もう絶版となっているものです。
右はフーゴ先生から。『ホームズ鬼譚~異次元の色彩』に描いてくださったイラストの原画です!
山田先生からの賞品は…ちょっと書けません^^;
ゲットされた方は、死んだら棺桶に一緒に入れることを遺言に書く、というのを条件に
お出ししました。

さて問題です。
予め先生方に29個のキーワードを見ていただき、直感で連想した言葉をご提供いただきました。
そのキーワードと回答を見て、会場の皆さんに誰の回答かを当てていただく、というクイズゲームです。
勝ち抜き戦で賞品の数(16人)を選出します。
例えばこんな問題。
SnapShot.jpg
「ラヴクラフト」というキーワードに対して「極北のアゴ人間」と回答したのは
山田先生、北原先生、フーゴ先生3人のうちの誰でしょう?
というのが問題です。

こちらの回答に基づき、先生方に解説をお願いしてもらったり、
オプションで開場直前に同じく連想用語を書いていただいた
ゲストの先生方の回答を紹介したり…。

ちなみに問題に出した回答一覧はこちら。
相性ゲーム2

初めはバラけていた皆さんの予想が、すぐに先生方の傾向がわかり、
分かる人はかなりの正解率で回答。
会場の人気は山田先生一人がさらっていきました。
黒先生に「作家」というキーワードを出したら、「締切!」と間髪いれずに回答されたのには
笑ってしまいました。

さて、お待ちかねの賞品タイム。
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2番目に並んでいる池澤先生の美しいこと!
まるで隠し撮りをしたような写真です。笑
実はクイズに参加した池澤先生の正解率は驚異のごとく、本当に2番目に賞品をゲットされました。

そして休憩の後はサイン会。
IMG_4538.jpgIMG_4539z.jpg

創土社のサイン会は、「その先生の著書ならなんでも可!」
ということでいつも横目でどんな本を皆さんが持ってくるかも楽しみに見ています。

上の写真で図子先生がサインしている色紙を拡大するとこれ!
IMG_4539.jpg
「あー、3月のイベントにも来てくださった方だ!」
と思ったら、凄く嬉しくなってしまいました!

サイン会の間、待っているお客様のために会場の隅にプチクイズコーナーを毎回設けています。
今回は見開きクイズ4問とフーゴ先生からご提供いただいた「並び替えクイズ」。
見開きクイズ1見開きクイズ2
見開きクイズ3見開きクイズ4
(クリックすると拡大します)
見開きクイズは、見開いたページから作品名を当てるクイズです。
今回の出題はこちらから。
「銀の弾丸」(山田正紀)、『復活はわれにあり』(山田正紀)、『霧幻帝都』(北原尚彦)、『四つの書名』(コナン・ドイル)。
やはり山田先生のクトゥルー作品「銀の弾丸」の正解率が高かったです!

フーゴ先生が提供して下さった問題はこれ
謎の絵手紙*設問
一見普通に読めてしまう物語ですが、並び変えると真実が浮かび上がってきます!

来場全員への特典としてこんな小冊子もお配りしました。
KC4602080001.jpgKC460209.jpgKC4602100001.jpg
目次の作品の見開き2ページを掲載しています。

さて、楽しかったイベントもあっという間にお開き。
今まで雲の上の存在だった先生方の意外な一面や、皆さんに思い出に残るような一コマはあったでしょうか?
本はもちろん内容を楽しむものですが、
生の先生を見たりサインいただいたりすると、また一層の楽しみが増すと思います。
これからも著者と読者の距離が縮まるようなイベントを企画していきたいです。

また次回のイベントで皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。





プロフィール

邪神の巫女

Author:邪神の巫女
クトゥルー様にお仕えしています。
クトゥルー様の教えを記した経典作りと宣教に日夜励んでいます。

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